昨日、知人の芝居を観るまで時間があったので、久々に高田馬場を徘徊した。
駅から、早稲田とは反対方向の小滝橋方面へ。こちら側にはあまり来たことがなかった。
時間をつぶすためのサ店を見つけるのが目的だったのだけど、駅から離れるにつれラーメン激戦区へ。
てかすごい、こんな激しい前線地帯とは思わなかった、ってほど、いろんな種類のラーメン屋がひしめきあっている。
こりゃ珈琲&スイーツ→ビール&餃子に切り替えるべきか?いやいやまだ昼間だし、これから芝居を2本観るから寝てしまう可能性を高めるのはまずい、と葛藤しながら、ひたすら早稲田通りを歩き続ける。
中には行列も。
こんなんなってるとは、ついぞ知らなんだ。
マチネに観た芝居がとっても面白かった。飢えた老女があるきっかけで万能性を手に入れ、次々とろくでもない罪を重ねていく話。
登場人物も全て貧しく報われない。
その中でたまに表れる歓びの童顔がたまらなくせつない。
役者もかなり年輩の方が多く、「まだらボケでごめんなさい」などの老害についての台詞が洒落にならないリアリティがあって、
つい、本当につい、感動してしまった。
面白かった。
ソワレまで時間がまた中途半端にあったので、徘徊再開。
駅近くの路地をなんとなく覗きこんだところ、
あれっ…
馴染みの看板がない。
「海乃屋」の看板が。
早大御用達の打ち上げ会場の看板が。
代わって、「DVD鑑賞」の輝く原色の文字が。
うそだ、うそだと思いながら、薄汚い路地を進む。
スナックや怪しげな小料理屋はそのまま。
なのに海乃屋がない。
そんなバカな。
路地の行き止まりに立ちはだかる和装ビル。
外観はそのままに、内装は明るくつくりかえられ、ギラギラと輝く店内。
踏み入れる勇気はないままに、呆然と入り口付近に立ち尽くす。
うそだろおい…
学生劇団の公演が終わるたびに、ここで朝まで飲んだ。
酒を無尽蔵に飲むという経験をしたのもここだ。
疲労と睡魔にバタバタと倒れていく同輩の中、生き残った者はひたすら飲み、食い、喋り続ける。
若人の矮小なものながら、人間関係を学んだのもここだ。
いわば学舎の1つだった。
それがなくなったとは。
料亭としての機能はあまり果たしておらず、もっぱら学生の飲み会に使われていたせいなのか。
勝手に廃業するなよ!断りもなしに!
喪失感の後に、怒りがこみ上げてきた。
くだらなくていやだと思っていた青春時代に、意外なほどに思い入れがあった自分を発見した。
だからなんだというわけではないが、
やはりショックはショックであった。
しょぼりん。
3 件のコメント:
自分の思いで(歴史)がなくなるのって悲しいね。
そうなんです!そしてなくなってから、ああ自分を形づくっていたものなんだなあって気づくんですね。
そしてきっとこれから、もっとそういうのが増えていくんでしょうね。
つまみは旨かったの?
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