思い出、なんて甘ったるい表現で申し訳ないのだけど。
9.10、台風に襲われた関東圏。
ずぶ濡れになりながら、成田空港へ向かう。
何度目かの卒業旅行(8年いたのでね)で、グァムに行く予定だった。
しかし、何せ台風直撃なので、飛行機が飛ぶかどうかは不明。
とりあえず空港に集まっとくか、ということで、
学生劇団の後輩たちと、空模様を不安な顔で眺めていた。
フライトの時間が近くなるにつれて、
台風が通過していく。
飛ぶよ、飛ぶみたい。
何だか晴れない気分のまま、飛行機に乗り込む。
現地に着いたのは朝。安いツアーなので、おかしな時間に着く。
とりあえず寝よう、じゃ後程ー、とホテルのロビーで解散した。
その翌朝。
男子部屋の後輩が顔色を変えてすっ飛んできた。
テレビ見ました?すごいことになってますよ。
なんだなんだとNHKを着ける。世界でどこでもNHK。
と、あの映像。貿易センタービルに、飛行機が2台。
呆然と眺めた後、後輩の一人が、
ここアメリカだよね、と。
はい、そうです。
グァムはアメリカです。
空港は封鎖されております。
とにかく考えないようにして、バナナワニ園とかに行って、
予定していた日程は楽しむように勤めた。
でもいつ帰れるかわからない。
なぜか私は、自分の公演の稽古始めを、グァム帰国直後に設定していた。
不安でいっぱいになる。
このまま数か月帰れなかったら…。
いろんなキャンセル代だけでどんくらいかかるんだろう。
いやでもこれって非常時だし…。てかみなさんごめんなさい…。
結局、延泊を余儀なくされ、
コスト削減のため、みんなで一つの大部屋に暮らした。
なるべく外食は控え、スーパーで惣菜を買う。
空港封鎖が解け、飛行機が飛んだ途端、街中で歓声があがった。
安心した後輩の一人は海で溺れた。
ぼくらのグァム最終日は、ICUでの付き添いに終わった。
おかげで9.11は、個人的にも忘れられない体験になった。
何せ、アメリカ領土にいたわけなので。
いろんなことが、いい迷惑だと思った。
でも同時に、ひとつ。
あ、やっぱそうなるよね、と思った。
映像を見て。
テロリスト側のモチベーションに共感している自分が、あの瞬間居た。
何か、バランスをとろうとしている気がしたのだ、世界が。
いや、よくないよ。テロは、どー考えても、方法として、よくない。
でもそんだけ追い詰められてんだよ俺らはってことなわけで。
それはどういうことなんだって、考えてくれよってことなわけで。
誰もいたずらに人命を手段に使ったりしない。
しかしこの場合のwe、youって、実際何だろう。
そしてこの、9.11こそが、point of no returnになっちゃったんだな、と、
いま振り返ると思います。
着陸先、見えてんのかなー。舵取りの人ら。
戦争は外交の手段だってのは、そーゆー駆け引きあっての話だと思うんだけど。
殲滅戦とか、マウントポジションのとりあいとか、マジでキリないよ。
落としどころ探しながら動かないと。
また泥沼化するよ。