自炊。
外食の代わりに、食材を買い込んで料理したほうが、
自分の好きなものを、自分の好きなように味付けして楽しめることを、
ようやく理解した。
昔から何かしか作ってはいたが、あまり美味いとは思えず、
結局外食のほうが自分を楽しませる術になっていた。
しかし。
食材の個性や旨みを少しずつ意識するようになると、
自炊の方がだんぜん楽しく、そして美味しく。
作るプロセスを楽しむことも含めれば、満足度は断然上がる。
そんなことを、実家を出て14年目にして、ようやく悟った。
遅い。
楽日の翌日。
打ち上げでは食事が咽喉を通らず、餃子を食べ損ねた。
それがどうにも心に引っかかり、しかしレトルトを買うのも何なので、
ニラや挽肉を買い、餃子の皮にせこせこと包んで、焼いた。
なかなかに美味い。
何であれ、作成するプロセスを厭わないことである。
自炊を怠る原因の一つに、面倒だから、というものがある。
この面倒を、手間ひまかけて作る喜びに、いつしかすりかわれば、
台所はクリエイトする現場になる。
まな板の上も、フライパンの上も、冷蔵庫の中も、
どこも稽古場のようなものである。
食材の個性を考え、仕上がりをイメージし、各パートごとに分けて下ごしらえをする。
キャベツを千切りにし、ニラを刻み、挽肉と和える。
酒や醤油、にんにくを入れ、味付けをする。
そういったこと一つ一つが、食事という本番に向けてなされる準備である。
火加減の調節は、ダメ出しのようなもの。
火を通すことで、どのような影響が食材に現れるか。
注意して見守っていなければならない。
蒸している時間は、熟成を待つ時間。
役者が考え、ある解釈や行為を生み出すのを、ただひたすらに信じて待つ。
仕上がりが美味しいと、次は何を作ろうかと心が躍り、
レシピを見たり、考えたりすることが楽しくなる。
成功体験とは、この程度のものの積み重ねなのかも知れない。
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