2012年6月18日月曜日

外果骨折顛末記―②「ことのおこり(続き)」


自転車で走る。傘をさす。
と、酒箱が落ちる。
割れたかな、と思いかしゃかしゃと振ると、
厳重な包装がされているらしく、順調にちゃぷちゃぷと音。
包装用紙は少し汚れたが、中身が無事ならええ!任務は果たせる!と、妙に気がでかくなったままに再出発。(お酒をくださったみなさんごめんなさい…)
自転車をこぎだすと、風が起きる。傘があおられる。バランスを崩す。箱がリュックから飛び出る。あっと思うと、傘ごと転ぶ。ふっとぶ私。転がり落ちる箱。
これを数百メートルの間に何度も繰り返す。
今日は家が遠いなあ、とさすがに難儀に思いだす。



何度目の転倒か。
一軒家の軒先の花がぼんやり目に入り、そこに住む人に思いをはせた瞬間に(たぶんね)、
タイヤが滑った。
決定打の一発。
左足から着地。
イメージの中では、天下一武闘会の孫悟空よろしく(ドラゴンボールのね)、
しゅたっ、と。
が。
その後、痛くて動けない。
足首が、足にめりこんでしまったよう。
動けない。
はう…が…ああ…


赤い傘と、青い自転車、ピンクと白の包装紙につつまれた四角い箱が、
雨に打たれながら転がっている。
霧雨よりやや雨粒の大きい、小雨手前。
しとしとと降られるにまかせたまま、しばし転がる。


ひとしきり濡れた後、どうにか立ち上がるが。
歩けない。
足に力が入らない。
パニックに陥る。
しかし何故か、誰かを呼ぼうなどという考えはハナからない。
どうにかして帰ることだけを、一心不乱に考える。
とにかく自転車にまたがる。
歩くよりペダルをこぐことのほうが楽だと知り、
しかしながらどうにか痛みを昇華したく、べそをかき、泣きながら家に向かう。
しかしよほど酔っていたのか、あるいは痛みから貧血を起こしていたのか、
この期に及んで居眠りをする。
そして茂みに突っ込む。
なぜ救急車に頭が回らなかったのか。
酔いと、習慣を守る力がなせる業か。


とにかくエレベーターに乗り、
とにかく玄関に自転車を引き入れた模様。
この間のことは覚えていない。
玄関で横になり、靴も脱がずそのまま寝た。
風邪をひくかな、とよぎったが、とにかく痛みが引いてくれたら、と思った。
大きな怪我だと思いたくなかった。

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