やっぱりどこか偏ってしまう。
あまりべたべたな情感たっぷりの描写が多いのは苦手だし、
頭がさほどロジカルではないので、理が勝っている文体は得意じゃない。
そんな私に丁度良いのが角田光代の文体。
マグマのような情念を、人間の業を、ごくドライな客観的な、短めのセンテンスでズパッと置いていく。
時に見事な職人技であっと思わせる。
主客の温度差が、引き裂かれるようで、ある種の気持ちよさがある。
たぶん、自分の中の葛藤と距離を取りたいときに、
角田光代が恋しくなるのだろうと思う。
主観に取り込まれてあがいている私に、ドライな言葉で光をくれる。
言葉は光だ。ある混沌は、言葉がなければ混沌のまま。
認識を経て言葉であらわされるからこそ、他者との共有の糸口が見出される。
チャリをこいでブックオフで入手した三冊が終わったところで、
今回の祭りは一段落。
「空中庭園」「三面記事小説」「森に眠る魚」。
どれも、とてもよかった。
それぞれについての感想は、また気が向いたときにでも。
1 件のコメント:
言葉は悪魔でもある。
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