サクラの花弁がはらはらと散る。
いつもの、駅に向かう道。
日常の間隙に現れたあまりに幻想的な光景に、思わず息を呑む。
いつも通り稽古場に向かい、
いつも通り酒をあおって、
いつも通り孤独なねやに帰る予定でいたのが、
覆された。
美は革命である。
そう言い放ったのは、いつの誰か。
ひりつくリアルをもって、その革命を味わう。
美しい。
この有限な時空間に、無限に佇んでいたい。
永遠を希求する心。
耐えて久しくなかった望みに、心身が奪われる。
このままずっとここにいたい。
このまま、
この幸福なまま、
すべてが包まれたままでいたい。
思わず点在するサクラ群の下を、渇を満たすがごとく、求め、歩き回る。
なぜこんなにも狂おしく求めてしまうのだろう。
自らの時空間の絶対的な有限さから逃れたいからなのか。
あるいは
生きることそのものから
逃れたいだけなのか
サクラ。
見るたびに、死を思う。
そしてただ、
途方に暮れる。
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