2009年4月8日水曜日

サクラ

日差しのぬくもりに、弱くない風。
サクラの花弁がはらはらと散る。


いつもの、駅に向かう道。
日常の間隙に現れたあまりに幻想的な光景に、思わず息を呑む。


いつも通り稽古場に向かい、
いつも通り酒をあおって、
いつも通り孤独なねやに帰る予定でいたのが、
覆された。


美は革命である。
そう言い放ったのは、いつの誰か。
ひりつくリアルをもって、その革命を味わう。


美しい。
この有限な時空間に、無限に佇んでいたい。
永遠を希求する心。
耐えて久しくなかった望みに、心身が奪われる。
このままずっとここにいたい。


このまま、
この幸福なまま、
すべてが包まれたままでいたい。


思わず点在するサクラ群の下を、渇を満たすがごとく、求め、歩き回る。


なぜこんなにも狂おしく求めてしまうのだろう。
自らの時空間の絶対的な有限さから逃れたいからなのか。

あるいは
生きることそのものから
逃れたいだけなのか

サクラ。
見るたびに、死を思う。


そしてただ、
途方に暮れる。

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