2008年3月25日火曜日

【BOOK】『何者でもない』原田宗典

どうもどうも。
堰を切ったような更新ですみませぬ。にくえもんです。
いろんなコーナーを自分で勝手に作っていこうかと。ビバ一人上手。
そいでもって、まずは勝手に、メモ的ぶっくれびゅ。
というか、本をネタに、結局自分の話ですが。

『何者でもない』
原田宗典


とある大手老舗劇団に所属した一青年の目を通して、
人間模様や日常生活を描いた小説。
青春小説、かな。


原田宗典は読みやすくて楽しいです。
楽しいけど、ときどき衝動的に捨て鉢になる。
読んでいて、20代前半の、もうバカでバカで仕方なかったころを思い出しました。
バカさは若さの特権だとは言うけれど。
本当にバカでした。
もっと自分を大切にしろ、と今の私なら言うでしょう。その頃の私に向って。
でも、聞く耳もたんかったもんね。バカだから。


何であんなに自暴自棄だったんだろうか。
読んでいて、そんなバカだった自分の姿が何度も思い起こされました。
しかも劇団という、古いしきたりでがんじがらめになった組織、空間が、この小説の主な舞台。
今の私には、一番避けて通りたい、大嫌いなものになってしまった上下、隷属、支配・被支配、抑圧関係が、
色鮮やかに描かれています。


なぜそんな中に好んで身を置いていたのか。
長い時間をかけた受験勉強を経て、演劇に身を染め、
自由になったつもりが、劇団に所属しているうちは、完全に不自由でした。
やりたいことをやっているはずなのに、やりたいことが見つからない。
思うように動けない。何かドキドキするものが確実にそこにあるのに、つかめない。
そんな空振りな日常の中、演出助手に誘ってくれた方が何人かいました。
そのおかげで、演出サイドに回る機会を得て、
今に至ります。


人のご縁とは、不思議なものです。
でもその人たちと過ごす時間、交わす言葉、今ある全てが、
これから先の出来事につながっていくと思うと。


人と出会うことは、これから先の可能性を切り開いていくことでもあります。
出会いすぎて、しがらみで閉ざすことになっては、元も子もないですけどね。


なんてことを、この小説を読んでから、ぼんやり考えておりました。
一昔前の劇団のリアリティを知る人には、肌でわかるエピソードばかりです。
知らなくても、自分の所属する組織に置き換えて考えつつ読むと、
納得すること満載です。


お手すきの際にでも、ご一読あれ。

にきまんじろう

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