2010年5月3日月曜日

【BOOK】『動物農場』ジョージ・オーウェル

これまた名作を読みましょうキャンペーンの一環。
『1984年』を書いたG・オーウェルの、その前作ともいえる表題作。
それに、ビルマの警官をやっていた時代の体験をもとにした、エッセイとも小説ともつかぬ短編がついついと。
映画『大地と自由』の原作『カタロニア讃歌』でも有名です。


ビルマ時代短編は、なかなか生々しくてよいかと。
あんなに帝国主義への反骨・批判精神やかましい人が、
よりによって植民地先ビルマで支配の最前線である警官をやってたなんて、
なんというか、相当にキツかっただろうなと思うと、
想像だけで血が速流れしそうになりんす。
だからなのか、そのぶん、描写が切羽詰まってて、ヒリヒリしてて、でも現実とすごくナマで対峙してる感があって、
あちしはおもろいと思うよ。


『動物農場』は、読みやすいっちゃ読みやすいけど、
「これって寓話なんだよな、事実の比喩なんだよな」と考えると、
結構おそろしい。ぞわぞわして、人間て何て愚かなのだーと叫んで本をどこかに力いっぱい投げつけたくなります。
アニメのイラストで表象されるような印象じゃない、ぜんぜん牧歌的じゃない。


この血が噴出す感じ。
リアルに人の生き死にの現場にい続けた、修羅場をくぐりぬけた文体。
なかなか現代のスマートな作家にはできない芸当かと。


さすがだよ。

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