2007年9月29日土曜日

目にはさやかに見えねども

松茸と秋刀魚が恋しい季節ですね。
食欲とスポーツと読書と芸術の秋ですね。
スポーツ以外はがっつり秋を満喫しています、広報の高田香織です。


NICK-PRODUCE#12「楽屋」、日にちにして半分を終えました。

現場に足を運んだのが実は初回の通し稽古以来だったのですが、やっぱり舞台セットや照明、音響、衣装、小道具が加わると観ていてドキドキ感が全然違います!

ストーリーを追いながら、暗転前の照明の残し方、メイクのもつ意味に目を向けると言葉にはならないメッセージがいっぱい織り込まれているのがわかります。

観に来ていただいた編集者さんのひとことなのですが、
「舞台を観てると、いつもと違う脳みその使い方するよね」
と、言われました。

なるほど確かに。

流通も保存もきかないものだから、音楽や雑誌と同じ楽しみ方ではないし。
それだけに一回のステージの緊張感は大きくて、観ている方がハラハラするような場面も。

当事者ではないのに、感覚がひらいていく。

役者ってすごい生き物だなぁ。

水族館のぶ厚いガラスの向こうのマンタが、次はどういうふうに動くんだろうと、けして触れられない距離なのに目を離せなくてその場に立ち尽くしてしまう。
不自由なのに自由。

そんな感覚を客席で感じるとき、私は劇場にいてよかったなぁと単純に思います。

いつか今日みたストーリーは忘れるかもしれない。

ものすごく共感したせりふも、つよくつよく胸を打った彼の表情も、
劇場を出て晩ご飯を食べて、お風呂に入るころにはもう思い出になっているかもしれない。

人生はそんなことの繰り返しかもしれない。

365分の1にすぎない「そんなこと」を自分の中に蓄積させて行きたいのかもしれない。

生きていくことの楽しみを、ひとつ加えていただけたら、しあわせです。

それはもう松茸や秋刀魚の美味なんかとは比べものにならないくらい。

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